■失楽園13 「匂い」




朝、慌ただしい隣家の生活音で、ゆっくりと瞼を開ける。
早くしないと遅刻するよとせきたてられて、安い木板をドタバタと軋ませる子供の足音で、寝返りを一つ打つ。
カーテンの隙間から漏れる陽光に舌打ちをして、また一つ寝返りを打って、天井を見つめる。
「行ってきます!」
ドアの閉まる音。急に静かになると、秒針の音がやけに耳について、壁の時計を睨みつける。
時間はとっくに9時を過ぎており、隣人のぼやきが容易に想像できた。

意識の靄を払うように頭を振るい、ベッドサイドに腰掛ける。
いつも通りのだるい身体を動かして、シャワールームへ向かう。
前夜の汗を流して、リビングに向かい、昨日と何ら変わりのない様子に、自分は独りだと教えられる。
玄関も寝室も、どの部屋も自分の匂いでむせかえるほど溢れている。

お前の…お前の匂いはどこだ…?

自分の匂いで息が出来なくなる感覚に襲われて、水タバコに火を点けた。
ケホッ…
吸い慣れぬ強い香に、むせて声を漏らしたが、それと引き換えに空気は、少しずつ自分以外の匂いに塗り替えられていく。
それがなんとも心を落ち着かせて、なんとも、複雑な気分にさせた。



「なんだ 葉巻は止めたのかぃ?」
振り返るとそこには、自分以外の匂いをさせる男が、もう一人。
「でもこんな派手なの、おっさんの趣味じゃねぇな」
こことは違う、東洋の酒の匂い。奴はいつも酒の匂いをさせ、薄ら笑いを浮かべ、手を伸ばす。
「触るな」
水タバコに触れようとした奴の腕を掴む。別にそれほど貴重な物でもなかったが、触れられたくなかったのだ。
奴が、お前に、セルバンテスに重なるのが許せなかったのだ。

「ふーん、別にいいけど。俺はお前に触れに来たんだし」
掴んだ腕が、不意にわしの頬を撫でる。
「…。」
奴の顔が近くなって、何も見えなくなった。

もう呼び鈴も鳴らさない。意味が無いのだ。
家に訪れたという報告そのものが。






繰り返される日常に、奴が踏み込んで来たのはいつの頃からだろう。

こうして、昼に隣の女が仕事に出てからは、二人で再びベッドに戻り、互いの身体を求め合った。
言葉は意味をなさず、吐息だけが交わされた。
「好きだぜ…」チュ…
「言うな馬鹿者…」

こんな関係、許されるはずもなく、幸せになれるはずもなく、報われるはずも…

この甘いぬるま湯に溺れて行くー…

こんな白昼夢、長く続くはずもなく…ー


キュッ
シャワーの蛇口を捻り止める。
ポタンポタンと伝い落ちる滴をタオルで拭い、クローゼットを開けた。
そんな喜劇が今日も開かれるのだ。
着飾るのはたった一人自分という観客の為。踊り狂って絶命するフィナーレに向けて、今日も舞台の幕が上がる。

ガチャンッー
不意に後ろのドアが鳴いた。
「どうした? 今日はいつもより早いな」
仕上げの髪を撫でつけながら、振り向かずに応えた。

瞬間、息が止まるーっ


















「やあ」

振り返るとそこには、真っ白い影が、笑みを湛えてー

「セ、セルーッ!」

「ずい分親しげじゃないか。僕達の寝室に通すようなんて」


「こっ コレはっ…!」





























「誰を、待っていたの?」






















■失楽園14 「罪と罰」























 
さぁ!盛り上がってまいりました!!
スーパーアルタンお仕置きタイムです!
やっと!やっとこの展開までたどり着けた!!
(実は失楽園書き始めの記事にセルの「誰を、待っていたの?」は書いてあるんですねー)
後はひたすら可哀想なアルタンを描くだけですむほむほ(^ω^)v

戴宗さん毎日昼間から入りびたりとかどんだけー。にーt(ry
きっと戴宗さんの仕事は不定期か、期間を置いてやる奴とかなんだお!キリッ

水タバコってマイルドらしいですね^^
まぁでもセルって強い変わったの吸ってそうって事で。
毒とか吸ってそう。毒を身体に慣れさせる為に。
美味しいんだよvなんて言ってニコニコしながら吸ってそう。
何か人間とは違う生物を見ている気がしてゾクゾクするといい。

そして最悪のタイミングで来ましたね!!泥沼だね!!修羅場だね!!はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ!!
修羅場大好きー泣けーアルタン泣けー(^∀^)0キャッキャッv まさに外道。
そしてやっぱり寂しいアルタン。
どんなに戴宗とチュッチュしてもセルへの気持ちは薄れないし幸せにもなれないよ。
なんか前の話の意味が分からなくなってきた。話が前後してる?
いいんだ最後に調整するよ!!それでは最後に人妻バンザイ!!人妻バンザイ!!